2023/05/18(木)
スタッフの日常丸亀店
【丸亀店】ロードレースの「逃げ」ってなに??
専門用語
こんにちは、玉ちゃんです。
今現在、イタリアではグランツールである「ジロ・デ・イタリア」が開催中です。
無料放送もやっていたのでもしかしたら見られた方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて、グランツールに限らずロードレースを見ていると、よく「逃げ」とか「メイン集団」とか「プロトン」とか「グルペット」など、耳馴染みのない専門用語が聴こえてくると思います。
先に上げた、単語はすべて選手のグループを示す表現です。
先にそれぞれの単語の意味をご紹介します。
逃げ:先頭で走る選手、もしくは、小集団のこと
メイン集団:そのレースで一番大きいグループ、もしくは、逃げを除いたその日一番重要となる選手を含んだ集団
プロトン:集団の意
グルペット:遅れた選手の集団
レースではこれらの動きによって、戦略的に展開していきます。
今回は、その中でも「逃げ」にフォーカスを絞って解説していきます!!
なぜ逃がすのか??
ロードレースは、アクチュアルスタート形式を採用してます。
徒競走のように「よーいどん」で走り始めてしまうと、最前列の選手がスタートしてから、最後列の選手がスタートするまでにかなりの時間を要してしまいます。
そうなると、後ろの選手が追いかけるのが大変ですよね?
なので、スタートしてから実際のレースが開始になるまではパレードランと言って全員のペースが揃うまでゆっくりと移動する時間が設けられています。
しかし、この間もレース自体は始まっています。
そこで大事になってくるのが位置取りです。
アクチュアルスタートが切られると同時に、集団から一気にアタック(加速して突き放す動き)が起こります。
これがいわゆる「逃げ」という行為です。
うまく決まると、写真のような小集団が出来上がります。
さて、ロードレースの勝敗自体は至極単純で一番速くゴールにたどり着いた人の勝ちです。
そう考えると、逃がすのはまずいんじゃないか??と思われるかが多いと思います。
しかし、これが複雑なところなのですが、基本的には逃げても勝てないことが多いです。
当然、スタート直後から逃げを打つために様々な選手がアタックを仕掛けます。
その際に、後続の集団は誰が何名逃げたかというのを確認しています。
例えば、その中にめちゃくちゃ強い選手が何人かいたとします。
そうすると、当然そのまま逃げ切られてしまう確率が高くなってしまいますのでいわゆるメイン集団は、このアタックを潰して吸収します。
逆に言えば、逃してもらえるということは集団からしてもそれほど驚異ではない、もしくは、逃げ切られても別に良いと思える選手といえます。
じゃあなぜ、逃げるのか?
当然一つは逃げ切って勝つためです。
実際に今開催中のジロでイタリアでは、逃げ切りの優勝がすでに何回かありました。
特に山岳が多いステージなどは、集団で走る優位性が少し薄れるため逃げ切る確率が高くなります。
ですが、平坦ステージなどは逃げ切れる可能性はほぼありません。
逃げる理由のもう一つが宣伝のためです。
自転車選手のユニフォームであるジャージには、チームにお金を出資しているスポンサーのロゴや商品名がデザインされています。
そして、逃げは最初に申し上げた通りメイン集団よりもかなりの小集団となっています。
そのため、テレビ放送される際に大きいグループにいるよりも逃げの小集団にいるほうが長く映されます。
はっきり言ってしまえば、個人単位では有力選手か逃げ以外はほとんどテレビに映りません。
なので、逃げ集団に乗ることでスポンサーを全世界に効率よくアピールできます。
あとは、アシストを温存するという効果もあります。
ロードレースでは、メイン集団において暗黙のルールが存在します。
メイン集団で一番疲れるポジションは、当然先頭です。
風をもろに浴びながら走りますので後ろの選手よりも激しく体力を消耗します。
なので、各チームとしてはなるべくこの先頭に選手を送りたくはありません(例外もありますが)。
ですが、誰も積極的に先頭を牽引しなければそれこそ逃げがそのまま勝ってしまいます。
では、どういったチームが集団の先頭を牽引しなければならないかというと、総合リーダーを擁するチームに義務があります。
総合リーダーとは、ステージレースと呼ばれる何日間にも渡って一つのレースが開催される中で、現時点で一番成績の良い選手のことを指します。
ジロ・デ・イタリアではピンク色の「マリア・ローザ」と呼ばれるジャージを着用しています。
一応ただ押し付けられているわけではなく、このまま逃げがゴールに行ってしまったら総合逆転されてしまうので逆転されない範囲で率先して追いかける必要があるので引いているという感じですね。
ちなみに、その日の優勝候補(区間優勝)を狙う選手を擁するチームも集団を牽引することがあります。
ですが、この状況がひっくり返るのが「逃げ」なのです。
例えば、総合首位の選手を擁するチームメイトが逃げに乗った場合で考えてみましょう。
そうすると、仮にこのまま逃げ切りが成功したとしても自分たちのチームとしては区間優勝のチャンスがあるから問題ないと大義面分を振りかざせるわけです。
ロードレースは、チェスをしながらフルマラソンを走るようなものだと形容されますが、「逃げ」だけでもこのような意味合いがあります。
単純なようで複雑なロードレースですがひとつひとつゆっくり覚えていけば面白くなってきますのでぜひ次回も読んでみてくださいね。